武術の達人がやる、できそうでできないこと。目隠しをして、片足をもう片方の足の太ももにつけて立つ。そして、頭の上で両手の指先をくっつける。そんなに難しくなさそうなのに、実際にやってみるとフラフラする。スッとできそうなのにできない。
そんな謎の体勢、主人公の家政婦さんがトライするとすんなりできてしまう。画面にひしめく大勢のお弟子さんや観客みんなが挑戦するも、できているのは武術の達人と彼女だけ。けっこう前に観た作品なので記憶が曖昧なのだが、多分そうだったはず。
この『ローマ』という作品は批評家たちに絶賛され、数多の映画賞を総ナメにしたのだが、正直自分には分からなかった。モノクロで音楽もなく、監督の自伝的なお話で地味なのだ。撮影技術やCGと思わせない演出が見事と言われればそうなのかなあ、といった感じ。
しかし、あのできそうでできない体勢のシーンは、なぜだかたまに思い出す。本当に不思議なのだが。