発表会の一番いいところで「ミュート」され、聴こえなくなる演出が白眉。耳が聴こえない家族と観客には周囲の観客の反応から想像するのみ。しかし、そのもどかしさは後の試験のシーンで解消される。手話を交えたパフォーマンスで想いを伝えるところでウルウルしてしまった。フランス語まったくわからないけど。
耳が聴こえない家族と「音楽」という分かり合えない設定は秀逸。素晴らしいパフォーマンスに心を揺さぶられるのは必至でハリウッドリメイクも納得。「才能は正義」と見事な展開で着地した素晴らしいドラマだが、これはヤングケアラーの話なのだと思う。
家族のために自身が犠牲になる、これまでもこれからもそんな子供たちはたくさんいる。才能があってもなくても、夢があってもなくても、自分のために生きていける社会であってほしい。少なくとも、自分の老後は子供に面倒みてもらわなくてもすむようになんとかしたいと思った。